古い町並みと新しい図書館

先日、「冒険遊び場」のイベントに参加するため、岡山市に行ってきました。そのついでに、美しい町並みが残る備中高梁市の吹屋を訪ねました。

吹屋の町は、古くから「べんがら」と呼ばれる染料で栄え、保存された建物群の格子や土壁は鮮やかな紅色に彩られており、他では見られない景観になっています。映画「男はつらいよ」や「八つ墓村」のロケ地として使われ、備中松山城も「雲海に浮かぶ城」としてよく知られています。

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高梁市吹屋の町街並み

その備中高梁駅は、近年改装され、バスターミナルも併設されるなど、今から30年ほど前に訪れた時と比べて、格段にきれいになっていました。

そこで驚いたのは、駅舎に図書館が併設され、しかもその図書館では、図書の貸し出しカウンターの隣りで書店の蔦屋が書籍や雑誌を販売し、館内にはスターバックスもあり、コーヒーを飲みながら図書館で借りた本を読んだり、おしゃべりができるようになっていたりすることでした。

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高梁市立図書館

同じような図書館は佐賀県の武雄市にもあることは知っていましたが、実際に見るとたいへんきれいで、利用しやすい施設のように思われました。とくに子どもの目線でみると、駅という便利な場所に図書館があることで、子どもが安心して楽しく過ごしたり勉強できる場所になっています。さらには交流スペースとして利用できる点で、地域の交流拠点にもなりうる優れた施設であるといえます。大都市圏では、駅の周りで若い人が溜まっていたりすると、通りがかりの住民からうさんくさい目で見られがちですが、このような施設で、子どもたちが地域のおとなと接しながら時間を過ごすことができるところから、子どもや親はもちろん、地域住民にも喜ばれているのではないでしょうか。

現在、少子化が進行し、子どもの虐待事件もあとを絶ちませんが、地域にこのような施設が――小規模でも数多く――作られ、子どもたちにも地域の人たちにも「居場所」として利用されれば、さまざまな世代の人との交流が図られ、自ずと支えあいの地域につながっていくと思われます。

このような図書館以外にも全国には、「地域住民にやさしい居場所」を目的にさまざまな施設や場所が作られています。今年の秋に飯能市に開園が予定されているムーミンのテーマパークである「メッツァビレッジ」も、さまざまな世代の人が安心して楽しめる施設として利用されるのを楽しみにしています。