「若者の自己決定権」尊重が意味すること

台風20号の影響により波浪警報が出ていた静岡県の海岸で、大学生3人が行方不明になっているとの報道がありました(その後、二人の方の死亡が確認されました)。

ご家族をはじめ、関係する方々はさぞやご心痛のことと拝察申し上げます。希望を持って大学に入り、勉学や課外活動等に打ち込んでいるときに、このような事態に至ってしまったことは、残念でなりません。私も、事故で命を落とした学生さんや卒業生の方の葬儀に、これまで何回か参列させていただくことがありましたが、そのたびに、子どもを亡くしたご家族が悲しみに打ちひしがれているご様子に涙を誘われたものです。

亡くなった学生さんには、それぞれの事情があったことでしょう。もしかしたら、「この程度のことなら大丈夫」との安易な気持ちがあったかもしれません。しかし、そのような判断が、どれだけご家族を悲しませることになるのか、周囲に迷惑をおかけするのか、ここで改めて、自分の日常の振る舞いをしっかりと振り返っていただきたいと思います。

すでに報道されているように、今年の6月に成人年齢を現在の20歳から18歳に引き下げる民法の改正が行われ、2022年4月1日から施行されることになりました。この改正は、「18歳、19歳の若者の自己決定権を尊重するものであり、その積極的な社会参加を促すことにつながる」と法務省は説明しています。しかし、若者が自己決定権を適切に行使するには、十分な知識と経験が必要です。また、「自己決定」を促す機会も確保されなければなりません。私には、若者に対するこのような教育や機会の提供は、現状では十分になされているとは思われません。若者が不当に不利益を被ることのないように、消費者保護や若者による犯罪等に関する制度的な手当ても必要であると考えています。

学生の皆さんには、世の中のこうした自己決定権尊重の傾向が、同時に若者に責任を求める側面もあることを認識し、慎重な判断と行動をしていただくよう願わざるをえません。本学としても、これからの社会を生きていくのに必要な知識や能力を十分に修得し、適切に自己決定権を行使できるよう、「愛情教育」をさらに充実させていくつもりです。こうした教育を通じて、真の意味での「自己決定」をし、社会で中核的な役割を果たすことのできる「おとな」に成長していただくことが私たちの務めであると考えます。

ところで、前回のブログで、私自身の夏休み中の課題として、朝のウォーキングにチャレンジすると述べましたが、今のところなんとか続いています。その成果かどうかわかりませんが、若干の体重減少がありました。油断はできませんので、引き続き歩いてみるつもりです。ウォーキングのことは、新たな気づきもありましたので、また改めてこのブログでお伝えしたいと思っています。